絵巻物鑑賞の醍醐味は、物語を読み進めながら、それが絵画ではどのように描き表されているかを楽しむことにあります。そこで「デジ絵巻」では、物語と絵画とをひとつの画面の中で見られるようにしました。それは、絵巻物作品の物語が書かれた詞書や、描かれた絵画を画像として見られるだけではありません。くずし字や歴史的仮名遣いで書かれた詞書を読めるように現代の表記に置き換えた「翻字」や、現代語風に表したあらすじと場面解説とを合わせた「ストーリー」を、同じ画面内で見ることができます。また、詞書も絵画も細部が確認できるように拡大でき、「ストーリー」に対応した絵画の場面を開くこともできるなど、絵巻物を読み進める楽しさを感じていただけるように作りました。
2024年は「デジ絵巻」開館の第一弾として、鬼退治の話として知られた重要文化財「大江山絵詞」2巻を掲載します。これに続いて毎年1作品ずつ、2025年は与謝蕪村「奥の細道画巻」2巻、2026・27年は密教図像集「十巻抄」(何れも重文)と、掲載を増やしていきます。これにより逸翁美術館の所蔵品に色々な絵巻物があることを知っていただき、たくさんの皆様が絵巻物作品の魅力を味わえる機会を広げていきたいと思います。
○ 詳しい画面の操作方法等は、各作品の閲覧画面右上にある「?」からポップアップする小画面に記しています。
○ 歴史的な用語やその読みについては、一般的な用例の中から勘案して採用しています。
第二巻 部分
第二巻 部分(紙背に裏書き)
○ 《十巻抄》全10巻の内、2026年は第1巻~第5巻を掲載する。2027年に第6巻~第10巻を掲出する予定である。
○ 閲覧の便を図るため『大正新脩大藏經』図像部第3巻に掲載される《図像抄(高野山眞別處圓通寺藏本)》の目次を踏襲し、各巻の中で各項目へ遷移するインデックスを設けた。
○ 第1巻以外で紙背に裏書きが有る部分について、当該の箇所を料紙単位で展開して閲覧できるようにした。但し表面に対して、裏面は左右反転している事に注意されたい。
○ 翻字について
○ 本作品に関しては、あらすじや場面解説を現代語風に表す「ストーリー」を割愛した。
○ 本サイトでの本作品の掲載方式、翻字の作成等、編集の責任者は(公財)阪急文化財団 上席学芸顧問 仙海義之である。
第一巻 部分
与謝蕪村(1716~83)が、松尾芭蕉を慕って『おくのほそ道』を書写し、俳画風の挿図を描き加えた画巻。同種の作品は生涯に十数点制作されたらしく、そのうち画巻4点、屏風1点が現存する。本巻は一番後となる、安永8年(1779)、蕪村64歳の作。 書体の変化は数種に及び、挿図も絵柄が大きく数も14図になるなど、完成度が高い。蕪村が、旅中における芭蕉自身の感懐を様々に思い浮かべながら、制作を重ねた過程が想像される。
○ 本サイトではデジタル複製の特性を活かし、作品の現状とは一部異なる方法で画像を掲出する。本作では、第一巻冒頭の題字に続く、勝見二柳による序文を割愛した。
○ 現代語で記した「ストーリー」では、詞書本文に無い情報を、以下の通り補った。
○ 本サイトでの掲載に係る、本作品の詞書の翻字、ストーリーの作成、及び構成の改編等、編集の責任者は(公財)阪急文化財団 上席学芸顧問 仙海義之である。
第二巻 部分
源頼光が勅命によって配下の四天王とともに、諸神の加護を得て大江山の酒呑童子を退治する物語を描く。同物語を表す作品には、酒呑童子の居所を大江山とするものと、伊吹山とするものとの二系統があり、本作は大江山系の最古の絵巻となる。詞書・絵画ともに筆者は不明ながら、南北朝時代、14世紀に制作され、絵画は土佐派の絵師によるものとされる。
作品は現状2巻20図から成る。詞書は失われている部分が多くあるが、付属する詞書1巻によって大方を補うことが出来る。また、絵画では場面の順序が異なる錯簡が見られる。
本サイトではデジタル複製の特性を活かし、作品の現状とは異なる、一部復元的な掲載方法を以下の通り用いた。
○ 詞書が欠失した段について、第二巻第六・第七・第八・第十段では、上記、付属の詞書巻からの画像を挿入し、翻字を掲出した。また、他の欠失部分に関しては、同系統の他作品のあらすじを参照して「ストーリー」を作成した。なお、歴史的な用語やその読みについては、一般的な使用例の中から勘案して採用した。
○ 錯簡と見られる絵画部分を、物語の展開等に鑑みて下記の如く改め、作品の構成を改編した。
○ 各巻の画像の中で、各段の連接部分に灰色の細帯を入れて区切りを示した。また、各段の画像の中で、本来連接されていない箇所には黒の実線を入れた。
○ 本サイトでの掲載に係る、本作品の詞書の翻字、ストーリーの作成、及び構成の改編等、編集の責任者は(公財)阪急文化財団 理事・館長 仙海義之である。